「甲賀忍法帖」へのリスペクトに満ちた作品《1》

  • 2016.01.06 Wednesday
  • 23:11
バジリスク

◎原作:山田風太郎 作画:せがわまさき「バジリスク 〜甲賀忍法帖〜」(2003年初版 講談社)

 「甲賀忍法帖」のコミック版で、後にアニメ化もされた有名作(私はアニメ版は見てません)で、全5巻を購入した。原典に愚直なまでに忠実(特に、後で触れる映画「SINOBI」と比べると、もうえらい違い!(笑))だが、コミック化によって、更にキャラクターの情感が増し、ハードな描写が増え、逆に笑える場面もちょこちょこと見られる。
 小説が「絵」になった事で、より「イメージが捉えやすくなった」と言えるだろう。

SINOBI

◎映画「SINOBI」(2005年9月公開)

 「甲賀忍法帖」の実写映画化作品で、甲賀弦之介がオダギリジョー。朧が、今や大ヒット女優の仲間由紀恵!ただ、原作からの改変点が多く、イマイチ乗り切れなかった……(映画を見たのは劇場公開時なので、些か記憶に頼っている事を了解して下さい)。

 まあ、伊賀・甲賀合わせて20人もの忍者を描くのは大変なので、半分にしたのは分かるのだが、原典では野心がギラギラ輝いていた不死身の忍者・薬師寺天膳が、生きるのにくたびれた「仙人」みたいになっている事や、朧を慕っていた伊賀忍者・筑摩小四郎が「甲賀忍者」に変わっていた事。蓑念鬼が、むさ苦しい野獣男に過ぎなかったり(忍法使ったっけ?)、瀬川番であれほど魅力的だった百面相の達人―如月左衛門が、非常にキモかったり、弦之介の瞳術の師匠である室賀豹馬が、単なる「占い師」になっていたり……それに何よりも、クライマックスで弦之介と朧が"戦って"しまっていた事が頷けない!

 この二人は、お互いを心から愛し合っていた故に、"戦わずに"決着を付けたと言う「結末」が感動的なのであって、映画のラストでの展開は「う〜〜ん、何だかなあ〜〜?」と言う感じだった。忍法者として目立っていた感があるのは、CGでその特殊能力が見事に描かれた夜叉丸くらいだ。

 ただ、死闘の末、生き残った朧の笑顔で〆るラストは、(先程の感想とは相反するようだが)心にほっとした安堵感を覚えた。これはやっぱり、愛し合う二人までもがその命を散らせる壮絶なラストにやりきれない思いを抱いていたからかも知れない……。その意味で、弦之介と朧が生き延び、愛する我が子を産む「桜花忍法帖」の冒頭と、最後に一人生き残った響が愛する八郎を待ち続けるラストは、原典で見られなかった「愛する者同士のささやかな幸せ」を感じさせてくれた点で、映画版のラストに通じるところがあると思う。

【続く】
 

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  • 2017.08.21 Monday
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